漢字の形作り⑧
手書き文字と明朝体
パソコンなどで日常によく使う書体は、印刷文字だと明朝体を使うときが多いと思います。
また、現代の日本で日常によく使う手書き文字の形も明朝体に近い楷書が多いのではないでしょうか。
楷書とは、文化庁の報道発表「常用漢字表の字体・字形に関する指針(報告)について(平成28年2月28日付)」には、
「手書きの楷書は、中国の後漢末頃(2~3世紀)に隷書やその補助書体であった行書に基づき発展したもので、一点一画を連続したり省略したりせずに、更にはっきりと表現した書体をいう・・・・現代の日本でも、学校教育において最初に習得する書体であるとともに、公の書類などに手書きする場合は、楷書で書くことを求められることが多い。・・」(抜粋)
とあります。
そして、印刷文字としてよく使われる書体「明朝体(みんちょうたい)」は、
「明(1368~1644年)の時代に、まずは中国で、後に日本でも、印刷のための版木を彫刻するのに適した。また、印刷文字として読むことに特化された、手書きの楷書に基づく書体として用いられるようになったものである。」
とあります。
ただし、日本の楷書は明朝時代よりまえから発生していたので、必ずしも明朝体のみから生まれたということではないようです。
というのは、つまり、手書きしていて、字が判らないと印刷文字の明朝体の文字を参考にして書くことがあると思いますが、明朝体にある文字だけが正しいというわけではないということです。
楷書には、この書き方でないとダメという訳では無く、2種類以上の書き方がある字が多いです(字が省略できる行書、草書などはそれ以上の種類があります)。
これが前回から書いている「許容の字形」です。
漢字には色々な書き方がある
そのほんの一例を挙げます。
1.方向に関する違い 、はねるか止めるかの違い
「比」のように右から引くか、左から引くかの方向は、どちらでも よいものが多いです。「北」「風」「係」なども同様です。
「発」の最後の収め方も止めても払ってもどちらでもいいです。「比」「鹿」なども同様です。
2.はねるか止めるかの違い
「きへん」「うしへん」「のぎへん」などははねても止めてもいいです。
「はね」はやり過ぎないで、45度斜めに少しだけ跳ねると落ち着いた「はね」になります。
ただし、「林」[様」などの縦線が2本並んでいる場合は左のへんを止めて、右のつくりをはねるようにした方が形が良くなります。
※「相」など「目」「日」「田」を使う字は中の横線は右の縦線にくっついても離して もいいです。学校ではくっつけて教えますが、少し離した方がすっきりします。左の縦線には離さないでくっつけたほうがいいです。
3.はらうか、止めるかの違い
学校で払う方を最初に勉強するので払って書くことが多いかもしれませんが、慣れると止める方が書きやすいです。どちらが丁寧ということもありません。
「公」「笑」「夫」など
4.のばすか、止めるかの違い
縦線を最後に書く漢字は、止めても 伸ばしてもいいです。
「中」「千」「市」「抑」「柳」など。
漢字の書き方が何通りかあるなかで、“字が上手くなれるような‘’書き方もおすすめしていきます。