字が上手になりたいんです!!

ペン習字教師20年でつちかったノウハウと日々のこと

漢字の形作り③

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     こんにちは。 

  漢字の形のつくり方の続きです。

 

2 「とめ」「はね」「はらい」

  学校の書道では、最初に「とめ」「はね」「はらい」を習うのではないでしょうか。

 この3つは〔線質〕の回で少し説明した、一つ一つの線の終え方である収筆、または終筆のことです(線の始めは起筆、または始筆です)。

 今回は楷書における「とめ」「はね」「はらい」の説明です。

 

  • その前に

 一概に「とめ」「はね」「はらい」(以下、この三つを称して「収筆」といいます)といっても、これも種類はたくさんあります。

 収筆できちんと線を終えないと字の形が整いませんのでとても大切なことです。

 

 ただ最近手書き文字より印刷文字(活字)の方が読む機会も使う機会も多いですよね。でも活字をよく見ても「とめ」「はね」「はらい」などの収筆はほとんど見られません。 

  「とめ」「はね」「はらい」ができてなくても漢字は成り立ちます。間違いでもありません。

 

 このあたり文化庁でも検討しています。収筆だけの問題ではありませんが、

「・・近年、手書き文字と印刷文字の表し方に習慣に基づく違いがあることが理解されにくくなっている。また、文字の細部に必要以上の注意が向けられ、正誤が決められる傾向が生じている。・・」

 平成28年2月29日付文化庁報道発表『常用漢字表の字体・字形に関する指針(報告)について 経緯』より

    

 とあります。ただ、手書き文字が重要なことも記載されています。

 

「書き取り練習の中で繰り返し漢字を手書きすることで視覚、触覚、運動感覚など様々な感覚が複合する形でかかわる」

「漢字の基本的な運筆を確実に身に付けさせるだけでなく、将来、漢字を正確に弁別し、的確に運用する能力の形成及びその伸長・充実に結び付く」

 同上 第1章5項『漢字を手書きすることの重要性』より

 

 書き取り練習ってとてもすごいことのように感じますね。書くだけで能力の形成等に結びつくとは!

 

 整った手書き文字というのは、見て判るとおり印刷文字とは少し異なります。印刷文字はゴシック体や明朝体など書体は色々ありますが、だいたいが四角形で空間がありません。

 繰り返し漢字を手書きするときに、形がわからないままではどんどん字に癖がでてしまいます。

 正しいから、正しくないからというよりは、「丁寧で読みやすい手書き文字を書く」ことを目指して取り組むことが大切だと思います。